コフィ・アナン元事務総長の追悼(伊勢桃代会長のメッセージ)

コフィ・アナン国連元事務総長の訃報

突然の訃報に接し、残念でたまらない気持でおります。ご冥福を心からお祈り申し上げます。

アナン事務総長のご一生を振り返ってみますと、本当に事務総長としての資格と申しますか資質を備えた稀な方であったと思います。御祖父様と伯父様はガーナの部族の長であられ、部族の和平と正義ある伝統的統治の状態を、幼い時から感じる機会がおありになったと推測しております。御父様は、ヨーロッパ貿易会社のガーナ人重役なので、アナン事務総長はガーナの伝統に沿った生活環境の中に成長されながら、後のアメリカでの勉学も含み、西洋文化への深い理解をされていたと思います。

国際公務員としての人生は、1962年にWHOで始まり、2006年のご引退まで続き、多くの国連のOB・OGそして現職員が国際平和の為に共に歩んだ同士として、親近感と尊敬の念をもっていると思います。一方から言えば、アナン氏が職員に対し、そういう想いを持っておられたのだと感じます。

1950年頃から、ガーナは植民地支配から独立へと進みました。1956年の独立時には、安定した国家の建設に大きな希望が寄せられたと思います。しかしながら、幾つものアフリカの新独立国がそうであったように、独立後は、国家として安定した政治の立ち上げと経済的成長を成し遂げることは非常に困難のことでした。ガーナにあって国家独立と成長の苦しみ、政治的抗争をアナン氏は諸に体験されておられました。

国連でのご経験は実に多様であり、平和構築とPKO、機構改革にいそしまれ、又WHO、UNHCRなど多機関で、難民などの多くの問題に深く関われました。2013年のSkoll World Forum の閉会の辞の中で、MDGからSDGへの進行に関するお言葉がありました。つまり、総括的アプローチの必要性をビジネスコミュニテイーに訴え、パートナーシップを推進しておられました。

アナン事務総長の前には実に多くの争いがありました。ソマリア、ルワンダ、ボスニア、コソヴォ、シリアといった多くの人間の生死に関わる問題の対応は、総ての事務総長に課せられますが、イラクについてのアメリカとの問題は、アナン氏に将来への危機感を持たせたと思います。 21世紀までもう後3年となる1997年MITでの卒業式でのお言葉の最後に、特にアメリカ人卒業生に対しアメリカがinternationalismを守り、前進的世界秩序を推進するagentである様、絶え間ない努力をするようとのメッセージを伝えておられます。これからのアメリカの在り方に強い危機感を持っていらしたと感じます。

世界秩序が極度に不安定になり、次が見えないこの様な時に、アナン事務総長がこの世を去られたことを衷心より残念に思います。御遺志を次世代に伝えるなどAFICS-Jに出来ることを考えたく思います。

私個人としては、事務総長からいろいろなご助言をいただきましたし、組合との対決の様な危機に際し共に考えて下さいました。温かい友情をもって接して下さいました。心からの感謝を捧げます。

伊勢桃代

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